雇用2.3万人減でなぜ米国株は上昇?3つの転換と個人投資家の備え

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「景気が悪くなったのに、なぜ株価は上がるのだろう」。ニュースを見ていて、そんな違和感を覚えたことはないでしょうか。私も投資を始めたころ、この現象がいちばん腑に落ちませんでした。

米国時間8月7日、まさにその場面が起きています。米労働省が発表した7月の雇用統計は、働く人の数が前月から2万3000人減ったという内容でした。市場予想は8万人前後の増加でしたから、方向そのものが逆です。ところが同じ日の米国株は、そろって上昇して週を終えました。

この記事では、その日に何が起きたのかを数字で確かめます。そのうえで、悪い数字が買い材料に変わった3つの転換を追い、NISAで積立を続けている方が今週確認しておきたいことまで整理します。数字はすべて発表元の資料と市場データで確認しました。

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雇用は減ったのに株は上がった|8月7日の米国市場で起きたこと

結論から言えば、この日の市場は「雇用の弱さ」を悪材料ではなく好材料として受け取りました。まず終値を確認します。

  • ダウ工業株30種平均:151.83ドル高(+0.28%)の54,036.93ドル
  • S&P500:47.68ポイント高(+0.62%)の7,757.64
  • ナスダック総合:26,690.62(+1.30%)
  • ラッセル2000(中小型株):3,034.49(+1.10%)
  • VIX(恐怖指数):14.90(△1.65%)

週間で見ると、ナスダックは約5%高、S&P500は3.5%近い上昇でした。市場の不安の度合いを示すVIXは14台まで下がっています。

一方、統計の中身は決して明るいものではありません。米労働統計局(BLS)の発表によれば、7月の非農業部門雇用者数は2万3000人の減少。過去12か月の平均は月3万4000人増でしたから、その流れが途切れた形です。

ここがポイント:5月分が12万9000人増から6万3000人増へ、6月分が5万7000人増から2万人増へ、それぞれ下方修正されました。2か月合計で10万3000人もの下振れです。「7月だけが悪かった」のではなく、春先からの数字が実は弱かったことが後から分かった形になります。

業種別では、地方自治体の教育部門が5万人減、小売業が1万9000人減。金融関連も1万4000人減で、2025年5月のピークから12万1000人減っています。増えたのは医療(2万2000人増)ですが、その伸びも過去12か月平均の3万6000人増より鈍いものでした。

市場と専門家はこの統計をどう評価したか|FRBは難しい立場に

数字の弱さに対する市場の反応は、株ではなく債券に先に表れました。米国債の利回りは全年限で低下しています。

  • 2年債:4.193%(5ベーシスポイント超の低下)。7月17日以来の低水準
  • 10年債:4.639%(3ベーシスポイント超の低下)
  • 30年債:5.192%(2ベーシスポイントの低下)

2年債は、短期の政策金利の見通しをいちばん素直に映す年限です。それが真っ先に下がったということは、市場が「金融政策の方向が変わるかもしれない」と読み替えたことを意味します。

専門家の受け止めは慎重です。ウィルシー・アセット・マネジメントのブレント・ウィルシー最高投資責任者は、CNBCの取材に対し、今回の統計は予想より大幅に弱いだけでなく雇用が減少した点を挙げ、インフレが依然として高止まりしているなかでFRB(米連邦準備制度理事会)を難しい立場に置く、と述べています。

ここが今回のややこしいところです。景気が弱ければ金利を上げにくい。けれど物価はまだ落ち着いていない。FRBの内部でも意見が分かれている、と伝えられています。

悪い数字が買い材料に変わった3つの転換

では、なぜ株は上がったのか。私が読み解いた転換は3つあります。

転換①「利上げされるかもしれない」という重石が軽くなった

いま米国市場が気にしていたのは、利下げではなく利上げの可能性でした。物価が高止まりしているためです。株式にとって、追加利上げは最も重い足かせになります。

統計発表を受けて、その確率が下がりました。CMEグループのFedWatchによれば、9月会合での利上げ確率は約42%まで低下。10月までに利上げする確率は57%超という水準です。

雇用が減ったこと自体は良い話ではありません。それでも「当面は利上げしにくくなった」という一点が、この日は他のすべてに優先されました。景気の弱さより金利の重石のほうが、株価にとっては近い距離にあるということです。

転換②上がった順番が「金利に弱い株から」だった

上昇率を並べると、市場の考えが見えてきます。ナスダックが1.30%高、中小型株のラッセル2000が1.10%高。これに対しS&P500は0.62%高、ダウは0.28%高にとどまりました。

金利が下がると恩恵が大きいのは、将来の利益への期待で買われているハイテク株と、借入コストの影響を受けやすい中小型株です。この日いちばん上がったのが、まさにその2つでした。

つまりこの日の上昇は、景気が良くなるという期待で買われたのではありません。金利が下がるという前提で、金利に弱い順に買い戻された。同じ「株高」でも、中身がまったく違います。

転換③統計の中身が「景気後退」までは示さなかった

3つめは見落とされやすい点です。雇用者数は減りましたが、失業率はむしろ4.1%へわずかに低下しました。市場予想は4.2%でしたから、こちらは予想より良い数字です。平均時給も前年同月比3.2%増を保っています。

ただし、ここには注意が必要です。労働参加率が61.4%まで下がり、5年以上ぶりの低い水準になりました。6月の61.5%からの低下です。働くことをやめた人が増えれば、失業者として数えられる人は減ります。失業率が下がったのは、必ずしも良い理由ばかりではないということです。

一時的なレイオフによる失業者も15万3000人増えて92万1000人になりました。市場はこの日、「減速はしているが後退ではない」と読みました。その読みが正しかったかどうかは、これから数か月の数字が答えを出します。

NISAで積立中の方が今週確認したい3つのこと

ここからは、日本で資産形成をしている方向けの話です。

確認1:統計1つで積立の設定を変えない。今回のように、同じ数字が悪材料にも好材料にもなる場面では、短期の判断ほど外れやすくなります。つみたて投資枠を使っている方は、金額や商品を動かさないことがそのまま戦略になります。

確認2:自分の保有が「金利に弱い側」に偏っていないか見る。米国のハイテク株比率が高い投資信託は、金利が下がる局面では上がりやすい代わりに、上がる局面では下がりやすくなります。今回1.30%高だったナスダックは、8月6日には下落していました。値動きの幅を率ではなく金額で把握しておくと、慌てにくくなります。

確認3:口座とコストを先に整えておく。相場が動いてから口座を作ろうとすると、手続きの間に場面が変わります。NISA口座は原則1人1口座で、金融機関の変更にも手間がかかります。落ち着いている今のうちに、手数料や取扱商品を比べておくほうが確実です。

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次に見るべき3つの日付|8月12日・8月28日・9月4日

今回の統計が「減速」なのか「後退の入り口」なのかは、次の3つで判定できます。いずれも米国時間です。

  • 8月12日(水):消費者物価指数(CPI)。物価が落ち着いていれば、利上げ観測はさらに後退します。逆に高いままなら、景気が弱いのに金利は下げられないという最も苦しい形になります
  • 8月28日(金):年次ベンチマーク改定の速報値。BLSが雇用者数の推計を、企業の雇用保険記録にもとづく実数に合わせ直す作業です。過去の数字が大きく書き換わることがあります
  • 9月4日(金):8月分の雇用統計。2か月続けて減少なら、市場の「減速にとどまる」という読みは修正を迫られます

とくに8月28日は、あまり報じられないわりに影響が大きい日です。今回のような大幅な下方修正が続いていることを踏まえると、目を向けておく価値があります。

まとめ|株価は景気ではなく「金利の見通し」で動いた

米国時間8月7日、7月の雇用者数は2万3000人の減少でした。5月と6月も合わせて10万3000人下方修正されています。それでもダウは0.28%高、S&P500は0.62%高、ナスダックは1.30%高で週を終えました。

理由は3つです。第一に、利上げされるかもしれないという重石が軽くなったこと。9月会合での利上げ確率は約42%まで下がりました。第二に、上がった順番が金利に弱い株からだったこと。ナスダックと中小型株が先に買われ、ダウの上昇は限定的でした。第三に、失業率4.1%、時給3.2%増という数字が、景気後退までは示さなかったことです。

ここから受け取れることは、はっきりしています。株価は景気そのものではなく、景気を受けた金利の見通しで動く場面があるということです。この違いを知っていれば、「景気が悪いのに株高」というニュースに振り回されずに済みます。

そして積立を続けている方にとっては、今回の1日は行動を変える理由になりません。むしろ確かめるべきは、自分の保有が金利にどれくらい敏感かという中身のほうです。相場が静かなうちに、口座と商品を見直しておく。それが次に大きく動いた日の落ち着きにつながります。

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本記事は2026年8月時点の情報提供を目的としており、投資・税務等の個別アドバイスではありません。最新情報・個別事情については専門家にご相談ください。また、この記事はAIを補助に利用して作成しています。

参考にした資料(一次ソース・市場データ)

プロフィール
おだログ

日本海側にある市役所で財政、法務、企画、産業政策、農業政策、CISO、副市長を担当
早期退職後、独立開業、法人を設立。
3か月で日商簿記3級、ITパスポート、フィナンシャルプランナー3級を取得
実体験をもとに、生活、ビジネスに役立つ情報をお届けします

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