メモリー株が一時9%安|アップル中国調達の報道で下げた3つの事情

Financial News 25 Aug 2026 おだログ おすすめ
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「昨日まで上がっていた株が、今朝はいきなり9%下げている」。朝いちばんに口座を開いてそんな数字に出会うと、落ち着かないものです。米国時間8月24日、S&P500種株価指数は0.28%安、ダウ工業株30種平均はむしろ0.26%高でした。指数だけを見れば、ほとんど何も起きていない一日です。ところがその中で、メモリー半導体をつくる会社の株だけが一時7〜9%下げました。決算が出たわけでも、工場が止まったわけでもありません。きっかけは週末に流れた一本の報道です。しかも1週間前には、まったく同じ論点でこれらの株は逆に買われていました。何が起きたのか、当事者と調査機関はどう評価しているのか、そして日本の家計はこの種のニュースをどう測ればいいのか。一次ソースと市場データをたどりながら整理します。

まずは口座の土台から


米国時間8月24日に何が起きたか|指数は小動き、メモリー株だけが一時9%安

この日の主要3指数は、そろって同じ方向を向きませんでした。

  • S&P500種株価指数:7,652.86(前営業日比21.51ポイント安、0.28%安)
  • ダウ工業株30種平均:53,417.16(同140.15ドル高、0.26%高)
  • ナスダック総合指数:25,980.19(同200.26ポイント安、0.76%安)

一方、半導体銘柄で構成するフィラデルフィア半導体指数は3%を超えて下げています。下げを主導したのは、スマートフォンやパソコンの中で情報を覚えておく部品、メモリーをつくる会社でした。

米メディア24/7 Wall St.によると、取引時間中の下落率はサンディスクが9%安(1,458.29ドル)、マイクロン・テクノロジーが7%安(897.86ドル)、ウエスタンデジタルが7%安(429.49ドル)、韓国のSKハイニックスが5%安。引けにかけては少し戻り、Yahoo Financeの当日ライブ集計ではサンディスクが7%超安、マイクロンが5%超安、エヌビディアが2.91%安で終えています。

押さえておきたいのは、この日の主語が「業績」ではないという点です。決算発表も、業績予想の修正もありませんでした。動いたのは、政策に関する報道だけです。

同じ日、原油はむしろ下げています。ブレント原油は2%安の1バレル92ドル前後、WTI原油も2%安の85ドル前後。米10年債利回りは4.7%、30年債利回りは5.23%で、金利が急に跳ねたわけでもありません。ダウが小幅ながら上げたのは、こうした「半導体以外」の材料が効いたためです。

報道の中身と、当事者・調査機関がどう評価したか

きっかけは「アップルが中国製メモリーを使えるようになるかもしれない」という週末の報道

週末に伝わったのは、トランプ政権がアップルに対し、中国のCXMT(長鑫存儲)が製造するDRAMと、YMTC(長江存儲)が製造するNANDフラッシュメモリーの調達を認める可能性がある、という内容でした。24/7 Wall St.はこれを、米国時間9月24日前後に予定されていると報じられる習近平国家主席の訪米を前にした外交的な配慮として位置づけています。

DRAMは電源を切ると中身が消える作業用のメモリー、NANDフラッシュは電源を切っても中身が残る保存用のメモリーです。スマートフォンにもパソコンにも、この両方が入っています。

アップルとマイクロンは、それぞれ何と言っているか

アップルの立場は、あらゆる選択肢を検討している、というものです。同社のサビ・カーン最高執行責任者(COO)は「現実的な選択肢はすべて検討しなければならない」と述べており、中国からの調達は供給量の面でも価格の面でも助けになりうる、という文脈で語られました。背景には、メモリーの値上がりで調達コストが膨らんでいる事情があります。

対するマイクロンは、7月の時点でホワイトハウスに働きかけていました。アップルとCXMTの取引は「米国内の製造を直接損ない、半導体を国内に戻すという政策に逆行する」というのが同社の主張です。同社は米国内のDRAM生産で40%のシェアを目標に掲げ、2035年までに米国へ2,500億ドルを超える投資を計画しています。守るべき投資が大きいぶん、政策の向きが業績に直結します。

なお、CXMTとYMTCはどちらも、米国防総省が公表する「1260Hリスト」に載っています。仮に政策が認める方向へ動くとしても、手続きは簡単には片づきません。

「下げすぎ」と見る調査会社の指摘

市場の受け止めは一枚岩ではありませんでした。リンクス・エクイティ・リサーチのKC・ラジクマール氏は、マイクロンとサンディスクの下落を「行き過ぎた反応」と指摘しています。根拠は認定(クオリフィケーション)の実態です。同氏の調べでは、CXMTがアップル製品向けに認定されているのは出荷数の少ないMacの1機種のみで、iPhone向けにはまだ認定されていません。

「使えるようになるかもしれない」と「実際に大量に使われる」の間には、何段階もの試験と認定が挟まっています。株価は前者に反応し、業績は後者にしか反応しません。この時間差が、値動きを大きくします。

メモリー株が一時9%安になった3つの事情

事情①同じ論点が、わずか1週間で逆を向いた

米国時間8月17日、ハワード・ラトニック商務長官はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、米国の優良企業が中国製メモリーを使うのは良いことではない、という趣旨を語りました。この日、マイクロンとサンディスクの株は大きく上がっています。中国勢を締め出す方向なら米国や韓国の取り分が増える、と読まれたわけです。

それから1週間。今度は「アップルに中国製を認めるかもしれない」という報道が出て、株価は反対側へ振れました。材料が入れ替わったのではありません。同じ論点の答えが揺れただけです。政策が主語のニュースには、この往復がつきものです。決算なら「予想より良かった、悪かった」で答え合わせが済みますが、政策は決着するまで何度でも観測気球が上がります。

事情②年初来で572%高という、戻る余地の大きさ

下げ幅の大きさは、それまでの上げ幅と切り離せません。24/7 Wall St.によると、米国時間8月21日の終値時点で、年初来の上昇率はサンディスクが572%、マイクロンが239%でした。

年初来で6.7倍になっている株が1日で9%下げても、6.7倍が6.1倍に戻った、という程度の話です。上がり方が急な銘柄は、下がり方も急になります。

利益が大きく乗っているほど、悪材料が出たときに「いったん確定しておこう」という売りが出ます。これは会社の中身とは関係のない、持ち主の側の事情です。

事情③「メモリーが足りない」という前提そのものが揺れた

いま、メモリーは値上がりが続いています。AIのデータセンター向け需要が供給を吸い上げ、消費者向けの製品にまわる分が減っているためです。DRAMの価格は2026年に入って3割近く上がったとされています。

その影響は、AI半導体の最大手にも及びました。ブルームバーグは米国時間8月22日、エヌビディアが主要顧客に対し、来年初めに出荷するAIサーバーの価格を15%超引き上げると伝えた、と報じています。理由はメモリーの調達コストの上昇で、高性能なラックではメモリーがコストの4分の1を占めるところまで来ました。値上げできる側の会社ですら、部材の高騰を吸収しきれていません。

つまり市場は、「メモリーは足りない、だから高い」という前提の上にメモリー会社の株価を積み上げてきました。そこへ中国勢の供給が加わるかもしれないという話が出れば、揺れるのは業績ではなく前提のほうです。

材料が重なる週に、家計が持てる選択肢を整理する

1日で9%動く銘柄を追いかけるより、毎月の積み立てを置く「器」を整えるほうが、手間も税負担も小さく収まります。新NISAのつみたて投資枠は、値動きの荒い週にこそ効いてきます。まだ口座を持っていない方は、手数料と取扱本数を見比べるところから始めてみてください。

積立の器を選び直す


日本の家計がこのニュースを測る3つのものさし

ものさし①政策が主語のニュースは、往復する

今回のように1週間で向きが変わる話は、決着するまでにもう何度か振れる可能性があります。「9%下げた」で判断するより、「何が決まったら終わるのか」を先に確かめるほうが早道です。今回なら、アップルが実際にCXMT製を採用したかどうか、そして1260Hリストの扱いがどう整理されるか。この2点が出るまでは途中経過です。

ものさし②値段が動くのは、日本が寝ている時間

米国市場が引けるのは、日本時間の翌朝5時(米国が夏時間の期間)です。見出しを目にするころには、値段はすでに動き終わっています。「見てから対応する」が使えない市場だという前提で、持ち方をあらかじめ決めておくほうが現実的です。

あわせて、円に直すと下落率は変わります。同じ日にドル円が円安方向へ動いていれば、円で見た下げは小さくなります。ドル建ての数字を、そのまま自分の資産の増減として読まないでください。

ものさし③今週は、値動きの理由が3つ重なる

今週は材料が集中しています。エヌビディアの決算、米国の物価統計、そして金融政策の場。値動きが1つなら理由も1つ、という読み方は、この週には当てはまりません。あとから「あの下げは決算のせいだった」と単純にまとめると、次に同じ形が来たときに読み違えます。理由を1つに決めきらないまま置いておくのも、立派な判断です。

今週、確かめておきたい3つの日程

  • 米国時間8月26日:エヌビディアの決算発表(引け後)。AI関連の設備投資が続くかどうかの目安になります
  • 米国時間8月27〜29日:カンザスシティ連銀の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)。複数の米メディアによると、28日午前10時(米東部時間)にケビン・ウォーシュFRB議長が初の基調講演に立ちます
  • 米国時間9月24日前後:習近平国家主席の訪米が予定されていると報じられています。今回の話は、この日程と結びつけて語られました

3つとも、日付が先に決まっている予定です。「いつ答えが出るか」が分かっていれば、途中の値動きを見に行く回数は減らせます。

まとめ|「業績が主語か、政策が主語か」で、ニュースの読み方は変わる

米国時間8月24日、指数はほとんど動かないまま、メモリー株だけが一時9%下げました。原因は決算ではなく、トランプ政権がアップルに中国製メモリーの調達を認めるかもしれない、という週末の報道です。1週間前には正反対の発言で同じ株が買われていたことを思い出すと、この下げが「答え」ではなく「途中経過」だと分かります。

下げ幅がここまで大きくなった事情は3つありました。同じ論点が短期間で逆を向いたこと。年初来572%高という上げ幅が、そのまま戻る余地になっていたこと。そして「メモリーは足りない」という値上がりの前提が揺らいだことです。いずれも、会社が稼ぐ力そのものが変わった話ではありません。

ここが分かると、家計の手数は減ります。業績が主語のニュースなら、決算という答え合わせの日を待てば済みます。政策が主語なら、決まる日まで振れ続けると見込んで、途中の数字に手を出さない。この振り分けができるだけで、朝いちばんに口座を開いて動揺する回数は目に見えて減ります。まずは今夜、自分の積立設定が「見なくても続く形」になっているかを1分だけ確認してみてください。

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参考にした資料(一次ソース・市場データ)

本記事は2026年8月時点の情報提供を目的としており、投資・税務等の個別アドバイスではありません。最新情報・個別事情については専門家にご相談ください。また、この記事はAIを補助に利用して作成しています。

プロフィール
おだログ

日本海側にある市役所で財政、法務、企画、産業政策、農業政策、CISO、副市長を担当
早期退職後、独立開業、法人を設立。
3か月で日商簿記3級、ITパスポート、フィナンシャルプランナー3級を取得
実体験をもとに、生活、ビジネスに役立つ情報をお届けします

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